書評:クリエイターのための法律相談所

クリエイターのための法律相談所

クリエイターのための法律相談所

最寄り駅の書店で写真・デザイン関連のコーナーを当てもなく眺めていると、
一冊の違和感のある書籍が目に止まりました。それがこの本、
松島氏、諏訪氏による著書、
「クリエイターのための法律相談所」です。
その一角は写真集やデザイン関連の上紙華やかな書物が面陳列されておる中に、
法律相談所と名付けられた明らかに周囲とは違う趣旨を持ったこの一冊は特に目立ちました。
仕事の関連性もあり、迷うこと無く衝動買い。

■本書の流れ
1・はじめに
2・総論
3・Q&A 製作前の問題編
4・Q&A 製作過程編
5・Q&A 納品後編
6・まとめ
7・契約書サンプル

■雑感
大きく「総論」と「Q&A」の二つのパートに別れています。
最初の「総論」では著作権やその他権利の構造や、それらに関わる法律について説明がされております。
著作物ごとの権利の考え方や、また「著作権」に包含される個別の権利を体系化して、
分かりやすい解説をがされているので、
一般の方々が持つ何かもやもやとしているイメージを整理付けし、
きっちりした理解に至ることができると思います。

「Q&A」のパートではクリエイターが直面するだろう様々なケースを想定し、
法律的な局面の解釈と、それに基づいた適切な対応が解説されています。
最初のQ&Aから最後まで通読する場合に限っては、やや説明が冗長に感じられる点はありますが、
「総論」で頭に入れた知識の強化と具体的な事例での知識の補完がしっかりとなされます。

この本、「クリエイターのため」と限定しているのが些か勿体無いのではと、
著者の方々にとってはまったく余計なお世話と思われるような心配をしてしまいます。
クリエイターだけでなく、プロデューサー、ディレクター、プロモーター、営業、企画、業務、管理などなど、
おおよそコンテンツに関わる仕事をしているのであれば、一読の価値があるからこその心配。
おすすめの一冊です。