書評:ザッポスの奇跡 アマゾンが屈した史上最強の新経営戦略[改訂版]

■本書の流れ
1・ザッポスとはどんな会社か?
2・ザッポスのサービス
3・感動サービスを育むコア・バリュー
4・ザッポスの経営戦略
5・ザッポスが育む「人」
6・ザッポスから学ぶべきこと
7・ザッポスから学ぶリーダーの心得
8・ザッポスの飽くなき挑戦

■雑感
日本に拠点を持たず、サービス提供を行っていないザッポスという会社。急成長を遂げているものの、名だたる企業と比べるとそれだけで社名を世界に轟かせるという規模ではいないのですが(売上約1,000億円/年はもちろんすごいわけですが)、社名を目にする機会がにわかに増えてきました。そこで手にとったのが本書。

ザッポスの奇跡を読んでいると論旨がジェームズ・Cコリンズ著「ビジョナリーカンパニー」シリーズで言及されている点と重なる点が非常に多いです。

「ビジョナリーカンパニー 時代を超える生存の原則」
・第二章 時を告げるのではなく、時計をつくる
  企業そのものが究極の作品である

・第三章 利益を超えて
  基本理念ー利益の神話を吹き飛ばす

・第四章 基本理念を維持し、進歩を促す

・第六章 カルトのような文化

「ビジョナリーカンパニー2 飛躍の法則」
・第二章 野心は会社のためにー第五水準のリーダーシップ
  謙虚さ+不屈の精神=第五水準

本書の中で一番重要なの論旨が、ビジョナリーカンパニーで指摘されている、

第三章 だれをバスに乗せるかー最初に人を選び、その後に目標を選ぶ

ここだと感じます。
企業の文化に適合する社員にとってはあらゆる面で精神的な充足を得ることができる環境を与える反面、企業の文化に適合しない社員は採用面接や採用辞退ボーナスなどを駆使し、徹底的に排除をする厳しい姿勢を貫いています。とかく社員に対して寛容なイメージが先行している印象をうけるのですが、その反対の非常に厳しい仕組みも併せて持ち合わせているのですね。
これを前提として第五水準のリーダーの資質を有しているだろうCEOトニー・シェイを中心とした”時計作り”を実現しているのでしょう。